敵意帰属バイアス|相手の何気ない行動を攻撃と感じてしまう心理

こんにちは、コズエです。

今回は「敵意帰属バイアス」という、ちょっと難しそうに聞こえる心理学の言葉について書いてみます。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、実はわたしたちの日常にとても身近な現象なんです。

日常でよくある「なんでそんな言い方するの?」

たとえば、こんな場面って経験ありませんか?

友達からの返信が遅れて、「無視されてるのかも…」と不安になった。
店員さんのちょっとした態度に「バカにされた?」とモヤモヤした。
上司の何気ない指摘に「嫌われてるのかな…」と感じた。

こういうふうに、本当はただの偶然や中立的な行動を、「悪意ある攻撃」として受け取ってしまうこと。
これが、「敵意帰属バイアス」と呼ばれる心のクセなんです。

敵意帰属バイアスってなに?

心理学ではこのバイアスを、「他人のあいまいな行動を敵意を持っていると解釈してしまう傾向」と説明しています。

これは特に、過去に傷ついた経験がある人や、自己評価が低いと感じている人に多く見られるとされています。

要するに「どうせ自分なんか嫌われてる」「またバカにされた」という思い込みが先にあると、相手の何気ない行動を敵意に変換してしまうんです。

社会が作り出した「監視される感覚」

たとえば、小さな頃から

「神様が見ているよ」
「仏様が見ているよ」
「みんな見てるんだから、悪いことしちゃダメ」

と言われ続けて育った人がいたとします。

最初はそれがしつけや優しさに見えたかもしれません。
でも、いつしかその言葉はこう変わっていきます。

「自分は、いつも誰かに監視されている」
「少しでも間違えば、責められる」
「自由に振る舞えば、きっと嫌われる」

実際には、誰も怒っていなかった。
誰もそんなふうに思っていなかった。
それでも「世界は自分を責めるものだ」という感覚だけが、心に残った。

これが、敵意帰属バイアスの根にある恐ろしさです。
敵意なんてなかった場所に、敵意を生み出してしまう。そして、自分を不自由にしてしまう。

なぜそんなふうに感じてしまうの?

防衛反応

過去に傷ついた経験があると、人は「また同じ目に遭いたくない」と身構えます。
だからこそ、ちょっとした違和感にも過敏に反応してしまうんです。

自己肯定感の低さ

「自分には価値がない」と思っていると、他人の行動すべてが自分への否定に見えてしまうことがあります。

社会の影響

「ちゃんとしなさい」「人からどう見られてるか考えなさい」と言われ続けると、いつの間にか他人の目に縛られてしまうんですよね。

このバイアスは異常な反応ではない

ここで大切なのは、このバイアスが異常な反応ではないということです。

誰だって心が弱っているときや、傷ついているときには「きっと悪意があるんだ」「やっぱり嫌われてるんだ」って思ってしまうことがあります。

でも、本当は誰もあなたを攻撃していないかもしれない。
そんなふうに気づけたとき、少しだけ心が軽くなるかもしれません。

バイアスとの上手な付き合い方

敵意帰属バイアスは、完全になくそうとする必要はありません。
むしろ、無理に気にしないようにしようとすると、かえって苦しくなってしまいます。

大切なのは「ああ、今バイアスが作動してるんだな」と余裕を持って観察することです。

このバイアスは人間に備わっている当たり前の機能なんです。
危険から身を守るために発達した、ある意味では必要な反応でもあります。
だから、バイアスが働いている自分を責める必要はありません。

「もしかして、これはバイアスかも」と気づけるだけで、人とのすれ違いに巻き込まれにくくなったり、自分を追い込みすぎずにすんだりします。
抑え込むのではなく、ただ気づいて受け入れる。
それだけで、心の負担はずいぶん軽くなるものです。

もし今、何気ない言葉や態度に心がざわついているなら、それは、あなただけのせいじゃないかもしれません。

今回ご紹介した敵意帰属バイアス以外にも、わたしたちの日常には様々な心理バイアスが影響しています。
Negative Brightsideでは、これからもそうした心の仕組みについて随時ご紹介していく予定です。